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やはた歯科ブログ
- 矯正歯科
- 2026/01/15
ワイヤー矯正が「できない」と言われるのはどんな人?その理由と解決策
歯並びを治したい!」と思い立って歯科医院に行っても、検査の結果「矯正できません」あるいは「今はまだ始められません」と言われてしまうことがあります。
お口の状態や体質によっては、治療を断られたり、特別な処置が必要になったりするケースが存在します。
今回は、矯正治療が難しいとされる代表的なパターンと、その理由について詳しく解説します。
1. 重度の歯周病の人
矯正治療を断られる理由で最も多いのが「歯周病」です。 矯正治療は、歯を支える骨の「吸収(溶ける)」と「再生(作られる)」のサイクルを利用して歯を動かします。しかし、歯周病は「細菌によって骨が溶かされる病気」です。 ただでさえ骨が減っている状態で、矯正によって骨の代謝を促すと、歯を支える骨が一気になくなり、最悪の場合、治療中に歯が抜け落ちてしまうリスクがあるのです。
【解決策】
「絶対にできない」わけではありません。まずは矯正よりも先に歯周病の治療を徹底的に行います。病状が安定し、歯茎の状態が健康になれば、矯正治療をスタートできることがほとんどです。
2. 「動かない歯」がお口の中にある人
矯正装置をつけても、物理的に「動かすことができない歯」が存在します。
- インプラントが入っている
デンタルインプラントは、顎の骨とネジが完全に結合しているため、どれだけ強い力をかけても絶対に動きません。 - 骨性癒着(アンキローシス)を起こしている
過去にぶつけた衝撃などが原因で、歯の根と骨が癒着してしまっている場合があります(叩くと高い金属音がするのが特徴です)。この状態を骨性癒着(アンキローシス)と言い、通常のワイヤーの力だけでは動きません。
【解決策】
- インプラントの場合: その位置から動かす必要がなければ、強力な「固定源」として利用し、他の歯だけを動かします。どうしても位置を変える必要がある場合は、被せ物の形を変えたり、インプラントを除去したりする検討が必要です。
- 骨性癒着の場合: その歯を「動かさない前提」で並べるか、あるいは「外科的処置(一度脱臼させる、骨に切れ込みを入れるなど)」を併用して動く状態にしてから治療を行います。
3. 治療によって「歯の寿命」を縮めるリスクがある人
現在の見た目は問題なくても、精密検査(レントゲンやCT)の結果、「治療を行うことで逆に歯を失うリスクが高まる」と判断された場合、治療をお断りする、または慎重な判断が必要になります。
① 歯根吸収(しこんきゅうしゅう)が進んでいる
歯根吸収とは、歯の根っこが溶けて短くなってしまう現象です。健康な歯=「根が深く張った木」だとすると、歯根吸収が起きた歯は「根が短くなった木」です。 過去の矯正歴や外傷などですでに根が短くなっている場合、さらに力をかけると歯がグラグラになり、維持できなくなる危険性があるため、治療開始前にお断りすることがあります。
② 歯肉退縮(しにくたいしゅく)のリスクが高い
歯肉退縮とは歯茎が下がって根元が見えている状態です。 もともと顎の骨が薄い人が、無理に歯を並べようとして外側に力をかけると、歯の根が骨の器から飛び出してしまい(骨裂開)、それに伴って歯茎が大きく下がってしまうリスクがあります。これを防ぐために、あえて「非抜歯での拡大」をお断りする場合があります。
【解決策】
- 治療前にリスクが判明した場合: 無理な治療は行わず、リスクのある歯を動かさないプランや、負担の少ない治療法(部分矯正や補綴治療など)を提案します。
- 治療中に進行が見られた場合: ごく稀に、治療を始めてから体質的に吸収や退縮が進むことがあります。その際は定期的なレントゲン確認を行い、兆候が見えた時点で「休止期間(歯を休ませる)」を設けたり、過度な力がかからないマウスピース矯正へ変更したりするなどの対応をとります。
4. 骨格のズレが大きすぎる人(顎変形症)
- ◾️極端な受け口(しゃくれ)
- ◾️あごが左右に大きく歪んでいる
- ◾️前歯が噛み合わない(開咬)
これらが「歯の生え方」ではなく「あごの骨の形や大きさ」に原因がある場合、ワイヤーで歯だけを動かしても根本的な解決になりません。無理に歯だけで合わせようとすると、顔貌が悪化したり、後戻りしたりする原因になります。
【解決策】
この場合は「外科的矯正治療」といって、あごの骨を切って位置を整える手術とワイヤー矯正を組み合わせる方法が推奨されます。この診断がついた場合、指定の医療機関(育成更生医療指定機関など)であれば保険適用で治療が可能です。
まとめ:諦める前にまずは「精密検査」を
「矯正できない」と言われるのは、意地悪ではなく「今の状態で無理に動かすと、あなたの歯を失うリスクがある」という歯科医師からの警告であることがほとんどです。
しかし、多くの場合は、以下のような対策をとることで治療が可能になります。
- ◾️先に歯周病や虫歯を治す
- ◾️インプラントを避けた計画を立てる
- ◾️アレルギー対応の素材(チタンやセラミック)を使う
- ◾️外科手術を併用する
ご自身が矯正できるかどうかは、目視だけでは分かりません。レントゲンやCTなどの精密検査を受けて初めて、骨や根の状態が分かります。「私の歯でも治せるのかな?」と不安な方は、まずは一度、矯正専門の医院で相談してみてください。
【やはた歯科からのコメント】
当院でも、矯正のご相談を受けた際は、まずCTやセファロレントゲンといった精密機器を用いて、歯の根や骨の状態をしっかりと診断してから治療をご提案しています。
特に、記事内にもある「1. 歯周病」については、当院が歯周病治療に長く携わっており、非常に重要視しているポイントです。もし歯周病が見つかった場合でも、まずは土台となる歯茎の治療をしっかり行い、お口の状態を整えてから矯正へ進むことが可能です。
やはた歯科では、前歯のお悩みに特化した「部分矯正(プチ矯正)」や、目立ちにくいマウスピース矯正「インビザラインGo」にも対応しています。「私の歯並びは治せるの?」「まずは検査だけしてみたい」という方も、無料の歯並び相談を行っておりますので、お気軽にご連絡ください。

この記事の監修

八幡 智裕(やはた ともひろ)
当院は、平成10年10月、姫路市勝原区や網干区、太子町の患者様が多い歯科医院です。おかげさまで開院当初から、たくさんの患者様にご来院いただいています。「第一に患者様のことを考えた治療を行うこと」を何より大切にしており、患者さんとの相互理解を重要視し、患者様にご満足いただけるよう医院作りに努めています。
所属学会・研修会
日本歯科医師会 会員/兵庫県歯科医師会 会員/姫路歯科医師会 会員/国際歯周内科学研究会 会員/JPDA 有床義歯学会 会員/研修会筒井塾 咬合療法コース/山田先生エンドベーシックコース/大阪SJCDベーシックコース/大阪SJCDレギュラーコース/OSIインプラントセミナー/S.O.R.Gベーシックコース/JACID インプラント100hコース/CALLベーシックセミナー