入れ歯治療の期間と通院回数はどれくらい?保険と自費の違い、歯がない期間の解決策

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やはた歯科ブログ

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2025/09/24

入れ歯治療の期間と通院回数はどれくらい?保険と自費の違い、歯がない期間の解決策

「最近、食事がしづらくなった」「人前で笑う時に口元が気になる」といったお悩みから、入れ歯(義歯)を検討している方は多いのではないでしょうか。

しかし、治療を始める前に、「入れ歯が完成するまでどれくらいの期間がかかるのだろう?」「何度も歯医者さんに通うのは大変ではないか?」といった疑問をお持ちかもしれません。特に、もし抜歯が必要になった場合、「歯がない状態で過ごす期間」ができてしまうのではないかと不安になることもあるでしょう。

この記事では、入れ歯治療にかかる具体的な診療回数と期間について、保険診療と自由診療(自費診療)の違いを比較しながら詳しく解説していきます!あなたの不安を解消し、納得して治療を進めるための価値ある情報を提供いたします。

そもそも入れ歯(義歯)治療とは何か!?その期間はどれくらい?

入れ歯治療の目的は何か!?

入れ歯(義歯)は、失われた歯を補い、噛む機能や発音、見た目、そして顔貌(顔の印象)を回復するための装置です。

入れ歯の製作は、デリケートなお口の中に異物を設置するため、患者さんが長く快適に使えるように慎重に時間をかけて治療を進める必要があります。

では、一般的な入れ歯ができるまでの期間はどれくらいかかるのでしょうか?

入れ歯の大きさや使用する材質、そして治療の精密さにもよりますが、入れ歯ができるまでには、通常2週間〜1ヵ月が一般的とされています。この期間は、型取りから完成までを指しますが、さらにその後の調整期間も考慮に入れる必要があります。

【比較】保険診療と自由診療で期間と回数はどう変わる?

では、なぜ治療期間に幅があるのでしょうか?それは、あなたが選ぶ治療法が「保険診療」か「自由診療」かによって、工程の数と期間が大きく変わるためです。

従来の保険診療 vs 新しい自由診療の構図!

従来の保険診療の入れ歯は、日本の健康保険制度に基づき、使用できる素材や設計に制限があります。あくまで「最低限の機能を満たす」ことを目的とするため、型取りや調整の工程が少ない分、比較的短期間で完了するという特徴があります。

しかし、新しい自由診療の入れ歯は、保険の制約を受けず、高品質な素材や技術を選択できます。特に重要なのは、患者さまのお口に合わせたオーダーメイドの精密な設計が可能になるという点です。そのため、型取りや噛み合わせの調整(咬合採得)の工程を多くし、時間をかけて精密に仕上げるため、保険診療よりも完成までの期間が長くなります。

治療期間と通院回数の目安をチェック!

以下に、保険診療と自由診療の期間と通院回数の目安をまとめました。

項目 保険診療の目安 自由診療の目安
治療期間(完成まで) 約2週間〜1ヵ月 約2ヵ月〜3ヵ月
部分入れ歯の回数(完成まで) 通常4回の通院(症例によっては5〜6回以上) 3回〜10回以上(精密さにより大きく変動)
総入れ歯の回数(完成まで) 5回〜6回(症例例では7回の場合も) 5回〜12回以上(インプラント併用などさらに増える)
調整期間(完成後) 個人差大。時間を要する傾向 比較的少なく済むことが多い

自費診療は完成までの期間が長いというデメリットがありますが、最も注目すべきは、仕上がりが精密なため、完成後の調整にかかる通院期間が短縮できるメリットがあるという点です。

入れ歯治療の段階的な流れ!完成までのステップ

入れ歯治療は、”完成してからが本当のスタート”ともいわれますが、完成に至るまでのステップを理解することが、納得して治療を進めるための第一歩です。

ここでは、一般的な入れ歯治療の流れを、段階的に見ていきましょう。

まずはSTEP1:カウンセリングと検査・診断!

治療が始まる前に最も重要なのは、患者さんがどのような生活を送りたいのか、どんな期待や不安を抱えているのかを知ることです。

  1. 患者さんの希望を把握:日常生活で何を重視したいか(見た目、快適さ、噛む力など)や、過去の入れ歯の使用経験などを詳しくヒアリングします。
  2. 口腔内の状態をチェック:残っている歯の状態、歯ぐきの健康状態、噛み合わせや顎の動きなどを評価します。
  3. 基礎疾患の治療:もしむし歯や歯周病があれば、入れ歯の土台となる環境を整えるために、まずそちらの治療を先行して進めます

次にSTEP2:型取りと噛み合わせの決定(咬合採得)

基礎となる口腔内の状態が整ったら、精密な入れ歯を作るための準備に入ります。

1. 精密な型取り(印象採得)!

まずは、お口の中の詳細な情報を得るために型取りを行います。

  • 概形印象(おおまかな型取り):初めに既製の型枠を使っておおまかな型(概形印象)を取り、患者さんごとにカスタマイズした型枠(個人トレー)を作製します。
  • 精密印象(正確な型取り):作製した個人トレーを使い、より精密な型取りをすることで、入れ歯の縁(床縁)が決まり、外れにくく、かたつきにくい入れ歯を作るための土台が完成します。
2. そもそも咬合採得(こうごうさいとく)とは何か!?

型取りが終わったら、噛み合わせの高さや顎の前後・左右の位置を決める「咬合採得」を行います。

どのような仕組みで〜しているのか気になりませんか?

  • 咬合採得の役割:歯を全て失った方(無歯顎者)の場合、歯があった時の状態を再現し、義歯の咬頭嵌合位(噛みしめた時の歯が合う位置)を与えるために、下顎安静位(リラックスした時の下顎の位置)から2〜3㎜低くした位置に義歯の噛み合わせを設定します。
  • 具体的には、蝋(ろう)でできた入れ歯の原型(咬合床)を口に入れ、リップサポートの調整や仮想咬合平面の設定、そして垂直的・水平的な顎間関係の測定を行い、最適な噛み合わせを記録します。

最後にSTEP3:ろう義歯試適を経て完成へ!

  1. ろう義歯試適(仮合わせ):咬合採得の結果をもとに、人工歯を並べた仮の入れ歯(ろう義歯)を装着します。これは、最終的な完成形のための準備段階です。この段階で、人工歯の形や大きさ、見た目発音噛み合わせに不調和や違和感がないかを患者さんと一緒に確認し、必要に応じて修正します。
  2. 完成と装着:試適で問題がなければ、最終的な入れ歯が完成します。

作製方法はあくまで一例です。お口の中の状態によって診療方法が異なることがある、という点にご留意ください。

抜歯が必要な場合の「歯がない期間」を乗り越えるには?(即時義歯の実例)

「もし歯を抜かなければならないとしたら、入れ歯ができるまで歯がない期間はできてしまうのでしょうか?」この疑問は、特に前歯など目立つ部分を抜歯する場合、深刻な不安材料となります。

抜歯を伴う入れ歯治療では、抜いた後の傷が治り、新しい入れ歯ができるまで早くて1ヵ月以上はかかるのが一般的です。この間、見た目や機能面で支障をきたすことがあります。

「即時義歯」という解決策!

この「歯がない期間」をなくす画期的な治療法が、即時義歯(そくじぎし)です。

そもそも即時義歯とは何か!?

即時義歯とは、その名前の通り、歯を抜くのと同日に入れ歯を装着できる治療方法のことをいいます。

具体的には、抜歯をする前に歯の型取りを行い、模型上で抜歯する予定の歯を取り除いてから、その場に入れる入れ歯をあらかじめ作製しておきます。

即時義歯は、抜歯後にすぐに装着できるため、前歯など見える場所の抜歯を伴う治療で特に有効活用されます。また、保険適用が可能というのも大きなメリットです。

即時義歯のメリット・デメリット

以下の表に、即時義歯のメリット・デメリットをまとめました。

項目 メリット デメリット
期間 治療期間が短縮でき、歯がない期間を作らない 抜歯後の歯肉の変化に合わせ、時間経過で緩みやすい
生活 抜歯後も食事や会話など、日常生活に負担がない 歯肉との調整が悪いと痛みや炎症を引き起こすリスクがある
費用 保険診療が適応される 抜歯後の状態によっては作り直しが必要になるケースがある

特に重要なのは、即時義歯は抜歯後の口内を想定して作るため、歯肉の回復(通常2~3ヶ月を要する)に合わせて完成後にこまめな調整が必要になるという点です。即時義歯をそのまま完成形として使うこともあれば、歯茎が治癒してから改めて新しい入れ歯を作る場合の仮の入れ歯(仮義歯)として利用されることもあります。

知っておきたい!完成後の調整と保険の「6ヶ月ルール」

完成後の調整はどれくらい必要!?

入れ歯の治療は、完成品を装着したらそれで終わりではありません。どんなに精密に作られた入れ歯でも、新しい靴を買うように、最初は違和感や痛みが出やすいものです。

では、どのくらいの回数調整が必要なのでしょうか?

調整回数には非常に大きな個人差があり、1回で済む方もいれば、十数回調整が必要な方もいらっしゃいます。一般的には、3回から6回程度の調整を行うことが一般的とされています。

  • 調整期間の目安:週に1回の調整で、おおよそ1ヵ月~3ヵ月くらいの期間がかかるとお考えください。
  • 特に重要なのは、痛みや不具合があるのに我慢しないということです。我慢して傷になってしまうと、その傷口が治るのに時間がかかり、結果的に入れ歯が使えない状態になる可能性があります。不都合な部分が生じた際は、遠慮せずに歯科医師に相談しましょう。

従来の保険ルール vs 新しい対応:保険の「6ヵ月ルール」とは!?

あなたが保険診療の入れ歯を検討している方であれば、特に知っておくべき重要なルールがあります。それが「6ヵ月ルール」です。

従来の保険診療で作成された入れ歯は、国の健康保険法で定められており、義歯を装着してから6ヵ月を経過しないと新しい入れ歯を作れないという制約があります。これは、歯科医院を変えたとしても引き継がれるルールです。

では、どのような場合に作り直しが可能なのでしょうか?

しかし新しい対応として、以下の実例のように、例外的に6ヵ月以内でも対応が認められる場合があります。

  • 抜歯をして歯の本数が変わった場合。
  • 入れ歯が破損した場合。
  • 上顎の入れ歯を作製後、6ヵ月以内に下顎(別部位)の入れ歯を作製したい場合。
  • 保険の入れ歯から自費の入れ歯に作り直す場合。

特に重要なのは、作り直しではなく、噛み合わせの調整だけであれば、6ヵ月以内であっても何度でも可能だという点です。

まとめ:あなたの入れ歯治療を成功させるために

入れ歯治療は、単に「失われた歯を補う」だけでなく、快適な食事と会話、若々しい見た目、そして心の健康にもつながる重要な治療です。

  • 入れ歯の製作期間は、保険診療で2週間〜1ヵ月自由診療で2ヵ月〜3ヵ月が目安です。
  • 通院回数は、保険診療の平均が4〜6回程度であるのに対し、精密な自費診療では10回以上かかる場合もありますが、その分、完成後の調整は少なくなる傾向があります。
  • もし抜歯が必要で歯がない期間が不安な場合は、即時義歯という治療法を選択することで、抜歯当日から入れ歯を装着できます。

あなたが入れ歯治療を検討している方であれば、まずは「日常生活で何を重視したいのか」という理想の生活を担当医と共有し、治療の流れや期間、費用について納得して進めることが大切です。

不安や疑問をそのままにせず、しっかりと専門家に相談し、噛める幸せと笑える自信を取り戻しましょう。

この記事の監修

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八幡 智裕(やはた ともひろ)

当院は、平成10年10月、姫路市勝原区や網干区、太子町の患者様が多い歯科医院です。おかげさまで開院当初から、たくさんの患者様にご来院いただいています。「第一に患者様のことを考えた治療を行うこと」を何より大切にしており、患者さんとの相互理解を重要視し、患者様にご満足いただけるよう医院作りに努めています。

所属学会・研修会

日本歯科医師会 会員/兵庫県歯科医師会 会員/姫路歯科医師会 会員/国際歯周内科学研究会 会員/JPDA 有床義歯学会 会員/研修会筒井塾 咬合療法コース/山田先生エンドベーシックコース/大阪SJCDベーシックコース/大阪SJCDレギュラーコース/OSIインプラントセミナー/S.O.R.Gベーシックコース/JACID インプラント100hコース/CALLベーシックセミナー

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