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やはた歯科ブログ
- 歯科医院
- 2025/10/16
歯周病が薬で治る!?歯周内科治療の真実とメリット・デメリットを専門医が徹底解説
「歯周病治療は痛くて怖い」「歯茎を切る手術が必要なのでは」と不安に感じていませんか?従来の歯周病治療のイメージを覆す「歯周内科治療」という革新的な治療法が注目されています。薬を使って歯周病を治療する時代が到来したのです。
この記事では、歯周内科治療の仕組みから実際の効果、メリット・デメリット、そして信頼できる歯科医院の選び方まで、専門医の視点から詳しく解説していきます!
歯周病治療の新常識!薬で治す時代が到来
従来の歯周病治療といえば、どのようなイメージをお持ちでしょうか?多くの方が「歯石をガリガリ削られる痛み」や「歯茎を切開する外科手術」を想像されるのではないでしょうか。
実際に、これまでの歯周病治療は以下のような問題を抱えていました:
- 痛みを伴う処置:スケーリングやルートプレーニング時の不快感
- 外科的処置への不安:歯茎を切開するフラップ手術の必要性
- 治療期間の長期化:何度も通院が必要
- 再発のリスク:根本的な原因菌の除去が困難
しかし、歯周内科治療の登場により、これらの問題を解決できる新たな選択肢が生まれました。まるで風邪を薬で治すように、歯周病も薬で治療できる時代になったのです。
歯周内科治療とは?従来の治療との決定的な違い
では、歯周内科治療は従来の治療と何が根本的に違うのでしょうか?その違いを分かりやすく解説していきましょう。
従来の治療法(機械的アプローチ)
従来の歯周病治療は、物理的に細菌を除去することが主な方法でした。具体的には:
- スケーリング:専用器具で歯石を削り取る
- ルートプレーニング:歯根面を滑らかにする
- 外科手術:重度の場合は歯茎を切開して清掃
歯周内科治療(薬物療法アプローチ)
一方、歯周内科治療は薬を使って細菌を除去する新しいアプローチです:
- 細菌検査:原因菌を特定
- 薬物投与:抗菌薬や抗真菌薬を使用
- 内科的治療:痛みを伴わない治療
| 比較項目 | 従来の治療 | 歯周内科治療 |
|---|---|---|
| アプローチ方法 | 物理的除去 | 薬物による除菌 |
| 痛みレベル | 中程度〜強い | ほとんどなし |
| 治療期間 | 数ヶ月〜1年 | 数週間〜数ヶ月 |
| 外科処置 | 必要な場合が多い | 基本的に不要 |
| 原因菌への対応 | 間接的 | 直接的・特異的 |
どうやって治すの?歯周内科治療の3つのステップ
歯周内科治療がどのような仕組みで歯周病を改善するのか、具体的な流れを見ていきましょう。治療は主に3つのステップで進行します。
ステップ1:精密検査で「敵」を知る
歯周内科治療で最も重要なのが、原因となる細菌の特定です。まずは「敵を知る」ことから始まります。
位相差顕微鏡検査
お口の中の細菌を採取し、位相差顕微鏡で観察します。この検査により:
- 細菌の種類と数を確認
- 歯周病原菌の存在を特定
- カンジダ菌(カビ菌)の有無をチェック
DNA検査による精密分析
さらに詳しい分析のため、DNA検査を実施することもあります:
- 特定の歯周病原菌のDNAを検出
- 菌の数を定量的に測定
- 薬に対する感受性を調査
ステップ2:薬で原因菌を徹底除去
検査結果に基づいて、原因菌に効果的な薬を選択します。この段階が歯周内科治療の核心部分です。
使用される薬物
- 抗菌薬:歯周病原菌を直接攻撃
- 抗真菌薬:カンジダ菌などのカビ菌を除去
- 専用うがい薬:口腔内の菌数を減少
薬物療法の最大の利点は、痛みを伴わずに根本的な原因除去ができることです。患者様にとって負担の少ない治療を実現できます。
ステップ3:徹底クリーニングと継続管理
薬物による除菌後、残存するバイオフィルムや歯石の除去を行います。
プロフェッショナルクリーニング
- スケーリング:薬で弱った歯石を効率的に除去
- PMTC:専門的な歯面清掃
- バイオフィルム除去:細菌の住処を徹底的に清掃
治療後は定期的なメインテナンスが重要です。再発を防ぐために、3〜4ヶ月ごとの専門的なケアを継続することをお勧めします。
気になる!歯周内科治療のメリット・デメリット
あなたが歯周内科治療を検討されているなら、実際の効果やリスクが最も気になるところでしょう。ここでは正直に、メリットとデメリットの両面をお伝えします。
歯周内科治療のメリット
| メリット | あなたへの価値 |
|---|---|
| 痛みが圧倒的に少ない | 従来の器具による痛みや不快感を大幅に軽減できます |
| 治療期間の短縮 | 数週間〜数ヶ月で効果を実感でき、通院回数も削減 |
| 細菌の根本的除去 | 原因菌に直接アプローチし、再発リスクを低減 |
| 歯や歯茎へのダメージなし | 物理的な処置が少なく、組織を傷つけません |
| 口臭の改善 | 原因菌の除去により、口臭も同時に改善されます |
知っておくべきデメリット
革新的な治療法といっても、すべてが完璧ではありません。以下の点をご理解いただいた上で治療をご検討ください。
1. 費用面での負担
歯周内科治療は多くの場合保険適用外(自費診療)となります:
- 治療費の相場:5,500円〜55,000円
- 検査費用も別途必要な場合があります
- 継続的なメインテナンス費用も考慮が必要
2. 効果に個人差がある
すべての患者様に同様の効果が期待できるわけではありません:
- 菌の種類や数による効果の違い
- 患者様の体質や免疫状態の影響
- 生活習慣や口腔ケアの質による差
3. 重度症例には限界がある
進行しすぎた歯周病では、従来の外科的治療が必要になる場合があります:
- 骨の再生が必要なケース
- 深い歯周ポケットの物理的な改善
- 歯の保存が困難な重篤な症例
最新技術との組み合わせで更に効果的に!
歯周内科治療の効果をさらに高めるため、最新の技術と組み合わせて治療を行う歯科医院が増えています。どのような技術があるのか見ていきましょう。
光殺菌治療(FotoSan630)との併用
光殺菌治療は、歯周内科治療と非常に相性の良い最新技術です:
- 仕組み:光感受性物質を細菌に付着させ、特殊な光で殺菌
- メリット:痛みゼロ、副作用なし、耐性菌を作らない
- 効果:あらゆる種類の細菌・ウイルスに対応可能
エアフローマスターによる精密清掃
薬物療法後のクリーニングに、最新のエアフローマスターを使用することで:
- バイオフィルムの完全除去
- 歯面へのダメージを最小限に抑制
- 患者様の快適性向上
よくある質問Q&A
歯周内科治療について、患者様からよく寄せられる質問にお答えします。
A: 基本的には保険適用外となります。ただし、一部の検査や薬剤については保険適用となる場合があります。治療前に必ず費用について詳しく確認することをお勧めします。
A: 2週間〜3ヶ月程度が一般的です。検査→薬物療法(1-2週間)→クリーニング→効果確認という流れで、患者様の症状により期間は前後します。従来治療より大幅に短縮できることが多いです。
A: 使用する薬剤による軽微な副作用(胃腸の不調、アレルギー反応など)が起こる可能性があります。事前に既往歴やアレルギーについて詳しくお聞きし、適切な薬剤を選択します。
A: 重度の場合でも症状の改善は期待できますが、完全な治癒には外科的治療や再生療法が必要になる場合があります。まずは検査を受けて、最適な治療方針を決定することが重要です。
A: 適切なセルフケアと定期メインテナンスを継続していただければ、再発リスクは大幅に軽減できます。ただし、歯周病は生活習慣病の側面もあるため、継続的な管理が不可欠です。
まとめ:あなたの歯を守るために今できること
歯周内科治療は、従来の「痛い」「怖い」歯周病治療のイメージを一変させる革新的なアプローチです。
この治療法の最大の価値は:
- 痛みを最小限に抑えながら、根本的な原因除去ができること
- 短期間で効果を実感できること
- 外科手術を避けながら、重度の歯周病にも対応できること
一方で、保険適用外であることや、効果に個人差があることも事実です。あなたにとって最適な治療法かどうかは、まず専門医による詳しい検査と相談から始まります。
早期の診断と適切な治療選択が、あなたの歯の未来を左右します。ぜひ、この機会に一歩を踏み出してください。

この記事の監修

八幡 智裕(やはた ともひろ)
当院は、平成10年10月、姫路市勝原区や網干区、太子町の患者様が多い歯科医院です。おかげさまで開院当初から、たくさんの患者様にご来院いただいています。「第一に患者様のことを考えた治療を行うこと」を何より大切にしており、患者さんとの相互理解を重要視し、患者様にご満足いただけるよう医院作りに努めています。
所属学会・研修会
日本歯科医師会 会員/兵庫県歯科医師会 会員/姫路歯科医師会 会員/国際歯周内科学研究会 会員/JPDA 有床義歯学会 会員/研修会筒井塾 咬合療法コース/山田先生エンドベーシックコース/大阪SJCDベーシックコース/大阪SJCDレギュラーコース/OSIインプラントセミナー/S.O.R.Gベーシックコース/JACID インプラント100hコース/CALLベーシックセミナー