入れ歯が合わない時の解決策!リベースと作り直しの違いを徹底解説

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入れ歯
2025/08/23

入れ歯が合わない時の解決策!リベースと作り直しの違いを徹底解説

「最近、入れ歯の調子が悪いな…」「噛むたびに痛みを感じる」「食事の時に外れてしまう」といったお悩みを抱えている方はいらっしゃいませんか?

入れ歯は毎日の食事や会話を支える大切なパートナーです。しかし、合わない入れ歯を我慢して使い続けることは、お口の健康だけでなく全身にも悪影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。

この記事では、入れ歯の不適合を解決する2つの主要な方法である「リベース」と「作り直し」について、それぞれの特徴やメリット・デメリット、どんな時に選ぶべきかを詳しく解説していきます!

そもそも入れ歯が合わないとどんな症状が現れるの?

では、まず最初に入れ歯の不適合によって現れる症状について見ていきましょう。あなたにも心当たりがある症状はありませんか?

入れ歯の不適合で現れる主な症状

  • ▶︎ 噛むと痛い・外れやすくなる
    入れ歯と歯茎の間に隙間ができると、食べかすが詰まりやすくなります。また、特定の場所に過度な負荷がかかることで痛みが生じるのです。フィット感が悪いと、話したり食べたりする際に義歯がすぐに外れてしまうという問題も起こります。
  • ▶︎ 吐き気がする・話しにくい
    例えば、上顎の総入れ歯の場合、土台が喉の奥に触れることで吐き気を感じることがあります。さらに、入れ歯の形やフィット感が合わないと、空気が漏れて滑舌が悪くなったり、発音が不明瞭になったりしてしまうでしょう。
  • ▶︎ 味や温度を感じにくくなる
    入れ歯が広い範囲で口腔内を覆っている場合、食べ物本来の味や温度を感じにくくなってしまいます。これは食事の楽しみを大きく損なう要因となるでしょう。
  • ▶︎ 口内環境や全身への深刻な影響
    最も注目すべきは、合わない入れ歯を使い続けることで起こる全身への影響です。具体的には、口内炎や歯茎の損傷(フラビーガム)、残っている歯への過剰な負担、栄養不足や消化不良といった問題が挙げられます。さらには顎関節症や頭痛、肩こりなど、全身に悪影響が及ぶリスクがあるという点です。

重要なポイント:これらの症状を我慢し続けることは、決して良い選択ではありません。早期に適切な対処をすることが、快適な入れ歯生活を送るための第一歩となります。

「リベース」とは何か?どんな治療法なの!?

ここからは、入れ歯の不適合を改善する方法の一つである「リベース」について詳しく見ていきましょう。どのような仕組みで問題を解決しているのか気になりませんか?

リベースの基本的な仕組み

リベースとは、義歯床(入れ歯の歯茎に接する部分)の粘膜面の適合が不良になった際に、人工歯以外の義歯床全体を新しい義歯床用材料に置き換える治療法です。

従来の方法では、入れ歯の表面だけを調整していました。しかし、リベースでは義歯床全体を新しい材料で作り直すことで、より根本的な改善を図るということです。

リベースの目的とメリット

では、なぜリベースが効果的なのでしょうか?その目的は主に以下の通りです:

  • ▶︎ 義歯と歯茎の間に生じた隙間を埋める
  • ▶︎ フィット感を大幅に向上させる
  • ▶︎ 時間経過による顎の骨の吸収に対応する

特に重要なのは、噛み合わせ(咬合関係)は適切であるものの、顎の骨の変化により義歯床が不適合になった場合に効果を発揮するという点が挙げられます。

リベースの実施方法

実際にリベースはどのように行われるのでしょうか?主に以下の2つの方法があります:

方法 特徴 メリット 注意点
間接法 義歯を一旦お預かりし、技工室で作業を行う 適切な厚みを確保でき、接着力も向上する 義歯をお預かりする期間が必要
直接法 口腔内で直接レジンを盛り、その場で調整 義歯を預けなくて済む 厚みの確保が難しく、発熱により粘膜を刺激する可能性

リベースは通常、より品質の高い結果が得られる間接法で行われることが多いでしょう。

リベースが適しているケースとは?

あなたがリベースを検討している場合、以下のような条件に当てはまるかチェックしてみましょう:

  • ▶︎ 噛み合わせの位置に大きな問題がない
  • ▶︎ 義歯床粘膜面の適合不良が軽度から中程度
  • ▶︎ 歯肉が痩せてしまい、入れ歯が合わなくなった
  • ▶︎ 顎堤の吸収が著しく粘膜が薄い場合(軟質材料使用)

リベースでは解決できない問題

一方で、リベースでは対応できない問題もあります。どのような場合でしょうか?

  • ▶︎ 噛み合わせの高さ(咬合高径)や下顎の位置(下顎位)など、咬合関係自体に問題がある場合
  • ▶︎ 義歯床の強度が不足している場合
  • ▶︎ 長期使用によるレジンの劣化や変色が著しい場合
  • ▶︎ 義歯の全体的な機能性や審美性を大幅に改善したい場合

入れ歯の「作り直し」が必要になるのはどんな時?

これまでリベースについて説明してきましたが、次はより広範囲な問題に対応する「作り直し」について詳しく見ていきましょう。

リベースでは対応しきれない、より深刻な問題がある場合には、入れ歯の作り直しが必要となります。では、具体的にどのような状況で作り直しを検討すべきなのでしょうか?

作り直しが必要となる具体的なケース

  • ▶︎ 入れ歯の物理的な破損
    例えば、義歯床のひび割れや破折、人工歯の破損・摩耗、金属部分の破損など、修理が困難な場合が該当します。実際に、長期間使用した入れ歯では材料の劣化により、このような問題が生じることがあります。
  • ▶︎ 口腔内の大幅な変化
    具体的には、残っている歯が抜けてしまった場合、虫歯や歯周病などで残存歯の治療が必要になり歯の形状が変わった場合、顎の骨や歯肉が著しく痩せて義歯との間に大きな隙間ができてしまった場合などが挙げられます。
  • ▶︎ 深刻な噛み合わせの不具合
    義歯の摩耗や口腔内の変化により噛み合わせが大きく悪化し、リベースでは改善できない場合です。この状況では、根本的な再構築が必要となるでしょう。
  • ▶︎ 審美性や機能性の根本的な改善を求める場合
    現在の入れ歯の見た目や使い心地に大きな不満があり、一から新しい義歯を製作することで、より優れた機能と審美性を実現したい場合も作り直しの適応となります。

知っておきたい!保険診療の「6ヶ月ルール」とは?

入れ歯の作り直しを検討している方が必ず知っておくべき重要な制度があります。それが「6ヶ月ルール」です。どのような内容なのでしょうか?

6ヶ月ルールの基本的な内容

保険診療で入れ歯を作り直す際には、以下のような制約があります:

  • ▶︎ 前回の保険適用による入れ歯の作製から6ヶ月以上経過しないと、同じ部位の新しい入れ歯を保険適用で作製することはできません
  • ▶︎ このルールは、短期間での頻繁な作り直しによる医療費の増大を抑制するために設けられています

6ヶ月ルールの例外的なケース

ただし、以下のような場合には6ヶ月未満でも保険適用での作り直しが認められることがあります:

  • ▶︎ 抜歯によって、入れ歯を支える歯の本数が変わった場合
  • ▶︎ 入れ歯が破損して修理が難しい、または紛失した場合
  • ▶︎ 病気や事故などにより、口腔内の状態が大きく変化した場合
  • ▶︎ 歯科医師が、現在の入れ歯を使い続けることが困難と判断した場合

重要なポイント:たとえ6ヶ月以内であっても、「痛みがある」「噛みにくい」「外れやすい」といった問題があれば、入れ歯の調整は保険診療で行うことができます。我慢せずに歯科医院に相談することが大切です。

自費診療という選択肢も

なお、自費診療で入れ歯を作り直す場合は、この6ヶ月ルールは関係ありません。いつでも作り直すことが可能ですが、費用は全額自己負担となるという点を理解しておきましょう。

「リベース」と「作り直し」どちらを選ぶべき?判断のポイント

ここまで両方の治療法について説明してきましたが、実際にあなたが選択を迫られた時、どちらが最適なのでしょうか?判断のポイントを整理してみましょう。

リベースと作り直しの比較表

治療法 メリット デメリット 適用ケース
リベース ▶︎ 費用を抑えられる
▶︎ 治療期間が短い
▶︎ 義歯を預かる時間が少ない場合がある
▶︎ 根本的な問題は解決できない
▶︎ 噛み合わせの問題には対応不可
軽度から中程度の義歯床粘膜面の不適合で、噛み合わせに大きな問題がない場合
作り直し ▶︎ 義歯全体の機能性や審美性を根本的に改善できる
▶︎ 全ての問題に対応可能
▶︎ 費用が高い
▶︎ 治療期間が長い
▶︎ 保険診療では6ヶ月ルールの制約
入れ歯の破損や摩耗が著しい場合、口腔内の形状が大きく変化した場合、噛み合わせの全体的な再構築が必要な場合

最適な選択をするために

どちらの選択肢が最適かは、現在のお口の状態や入れ歯の状況によって異なります。歯科医師が詳細な診察を行い、あなたのライフスタイルやご希望も考慮した上で、最適な治療法をご提案することになるでしょう。

特に重要なのは、一人で悩まずに専門家に相談するという点です。自己判断では限界がありますから、まずは歯科医院で相談してみることをお勧めします。

まとめ:快適な入れ歯生活を取り戻すために

入れ歯の不具合は、放置せずに適切な対処をすることが何より大切です。リベースと作り直しは、それぞれ異なる状況で効果を発揮する治療法であり、どちらを選ぶかは義歯の状態や口腔内の変化によって判断されるということです。

まずは以下のポイントを覚えておきましょう:

  • ▶︎ リベース:軽度から中程度の適合不良で、噛み合わせに問題がない場合に効果的
  • ▶︎ 作り直し:根本的な問題解決や大幅な機能改善を求める場合に最適
  • ▶︎ 保険診療の6ヶ月ルールを理解して計画的に治療を進める
  • ▶︎ 専門家への相談が最適な治療選択の第一歩

「入れ歯が合わない」と感じたら、まずは歯科医院を受診し、ご自身の状況に合った最適な解決策を見つけましょう。我慢することなく、快適な入れ歯生活を取り戻すことで、毎日の食事や会話がより楽しいものになるはずです。

この記事の監修

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八幡 智裕(やはた ともひろ)

当院は、平成10年10月、姫路市勝原区や網干区、太子町の患者様が多い歯科医院です。おかげさまで開院当初から、たくさんの患者様にご来院いただいています。「第一に患者様のことを考えた治療を行うこと」を何より大切にしており、患者さんとの相互理解を重要視し、患者様にご満足いただけるよう医院作りに努めています。

所属学会・研修会

日本歯科医師会 会員/兵庫県歯科医師会 会員/姫路歯科医師会 会員/国際歯周内科学研究会 会員/JPDA 有床義歯学会 会員/研修会筒井塾 咬合療法コース/山田先生エンドベーシックコース/大阪SJCDベーシックコース/大阪SJCDレギュラーコース/OSIインプラントセミナー/S.O.R.Gベーシックコース/JACID インプラント100hコース/CALLベーシックセミナー

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