歯がグラグラする時の緊急度判定と歯を残すための最新治療法

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歯科医院
2025/10/22

歯がグラグラする時の緊急度判定と歯を残すための最新治療法

「奥歯が揺れて痛い…」「指で押すと歯がグラグラする…」

もしかして、「抜歯しかない」と諦めていませんか?

食事中に感じる小さな違和感や、鏡で見た時の歯茎の腫れは、あなたにとって大きな不安材料となっていることでしょう。特に、痛みがないのに歯が揺れ始めている場合、それは長年あなたを支えてきた歯が発している「最後のSOS信号」かもしれません。

この記事では、あなたが抱える歯の動揺(グラつき)の緊急度を判断する基準と、最新の「歯周内科治療」による歯の保存の可能性について、詳しく解説していきます!

そもそも、なぜ歯はグラグラするのでしょうか?

では、硬い骨にしっかりと埋まっているはずの歯が、なぜ揺れ始めてしまうのでしょうか?その鍵は、歯を支える「歯周組織」、特に「歯槽骨(しそうこつ)」という骨の役割にあります。

歯の土台を破壊する最も多い原因は歯周病です!

歯がグラグラする原因として最も多いのは歯周病です。歯周病菌が歯周ポケットの奥深くで増殖し、炎症を起こし続けると、歯槽骨は徐々に溶かされてしまいます。

具体的には:歯周病が進行し、歯根の周りの骨(歯槽骨)が溶けて支持を失うと、歯は不安定になり、ぐらぐらと揺れ(動揺)始めます。歯槽骨の破壊が著しい状態が「重度歯周病(末期)」ということです。

歯周病以外にも、以下の要因で歯の動揺が起こる場合があります:

  • 咬合性外傷(かみ合わせの異常):歯ぎしりや食いしばりなど、過剰な力が特定の歯に加わることで動揺が生じます
  • 歯根破折:事故や外的な衝撃により歯の根にひびが入ることで、歯が揺れ、痛みや腫れを伴うことがあります

【緊急度チェック!】あなたのグラつきはどの段階でしょうか?

歯の動揺は、歯科医院では「動揺度検査」により客観的な指標で評価されます。この動揺度を知ることが、治療の緊急性や歯の保存の可能性を判断する上で非常に重要となります。

どのような仕組みで動揺度を測っているのか気になりませんか?

歯科医師は、ピンセットのような器具を使って歯を優しく動かし、揺れの幅や方向をチェックします。一般的に、動揺度は0度から3度で分類されます。

動揺度 揺れの程度(臨床所見) 緊急性の目安
0度 生理的な範囲内の、ごくわずかな揺れ(健康な状態) 低い
1度 前後方向に、0.2~1mm程度の揺れ 中程度。歯周基本治療で改善の可能性大
2度 前後・左右方向にも1mm以上揺れる 高い。中等度以上の歯周病。暫間固定が必要な場合がある
3度 前後、左右に加え、垂直方向(上下)にも揺れる 極めて高い(緊急事態)骨の大部分が喪失

特に重要なのは「3度」と「急性炎症」という点です

もしあなたが動揾度3度に該当する場合、歯を支える骨がほとんど残っておらず、抜歯の可能性が非常に高い末期的な状態であると言えるでしょう。

また、動揺の程度に関わらず、以下の症状がある場合は緊急度が高いと考えられます:

  • 頻繁に歯茎が腫れて膿が出る:歯周組織の急性発作が生じている状態
  • 痛くて噛めない:食事のたびに痛みが生じ、反対側で噛んでいる状態

諦める前に知ってほしい!歯周内科治療という「歯を残す」選択肢

「グラグラで抜歯と言われた」「手術は怖いし、痛そう…」と不安を抱えているあなたに、諦めてしまう前に知っていただきたい最先端の「歯周内科治療」について詳しく解説します。

従来の治療法と歯周内科治療の違いとは?

比較項目 従来の歯周病治療(外科治療主体) 歯周内科治療
治療の主軸 歯石除去、外科的手術 薬(抗菌薬)の服用による原因菌の除去
患者様の負担 専用器具で削る際に痛みや傷を伴いがち 痛みや大きな負担なく、風邪薬のように服用
治療期間 長期間にわたる傾向 比較的短期間で済む
原因へのアプローチ 機械的除去が中心 位相差顕微鏡で原因菌を特定し、薬で直接アプローチ

歯周内科治療のメリット・デメリット

この治療法の最大のメリットは、歯周病の原因を細菌感染症として捉え、非外科的に改善へと導くことができるという点です。

メリット

  • 痛みや大きな負担を伴わずに治療できる
  • 比較的短期間で済む
  • 歯や歯ぐきへのダメージがない
  • 中等度以上の歯周病の方でも適用可能

デメリット

  • 国際歯周内科学研究会で提唱されている保険外(自由診療)の方法
  • 費用は30,800円(税込)※飲み薬、抗カビ剤、スケーリング、PMTC 2回分を含む

最新の精密な歯の保存術について詳しく見ていきましょう!

動揺した歯の保存に多角的にアプローチする、3つのステップをご紹介します。

まずは:位相差顕微鏡で原因菌を特定する!

効果的な歯周内科治療を行うため、まず位相差顕微鏡を使った精密な検査を実施します。

具体的には:歯周病原細菌(P. gingivalisやT. forsythiaなど)の有無や量を特定し、オーダーメイドの抗菌療法計画を立てます。これにより、その患者様の病態に合った薬を選択し、効率的な治療を目指します。

次に:光殺菌治療による徹底した殺菌!

薬物療法に加え、光殺菌治療(FotoSan630)を併用することで、治療効果を高めます。

どのような仕組みでしょうか? 細菌に感染した患部に光感受性物質を注入・塗布し、特殊な光を照射することで細菌を殺菌します。

特に重要なのは、光殺菌治療は抗生物質と異なり耐性菌を作ることがなく、あらゆる細菌、耐性菌を殺菌できるという点です。

最後に:歯周組織再生療法による骨の再建という可能性

動揺の原因が重度歯周病による大きな骨の喪失であったとしても、「抜歯しかない」とすぐに諦める必要はありません。

例えば:エムドゲイン®やリグロス®などの再生材料を用いて、失われた骨の再構築を図るこの治療法は、歯を残すための最後の望みとなる可能性があります。

グラグラする歯を救うために、あなたが今すべきこと

歯の動揺に不安を感じているあなたを、私たちは全力でサポートしたいと考えています。手遅れになる前に、以下の3つのステップを踏み出しましょう。

まずは:現状の正確な把握から!

まずは、精密検査を受けてください。

  1. 検査の実施:歯周ポケット検査、歯の動揺度検査、レントゲン撮影により、歯周病の進行度や骨の破壊度を正確に把握します
  2. カウンセリング:独立したカウンセリング室で、検査結果をまとめた冊子を用いて、現状と治療方針を丁寧に説明します

次に:患者様第一の治療方針を一緒に決定しましょう

患者様の要望、ライフスタイル、予算などを丁寧に聞き取り、最適な治療法を複数提案いたします。

最も注目すべきは、「歯科医師が治療方法を押し付けるといったことはいたしません」という姿勢を徹底している点です。歯周内科再生療法など、保険診療と自費診療のメリット・デメリットを分かりやすく説明し、あなたが心から納得できる治療法を一緒に選んでいきます。

最後に:継続的なメンテナンスで健康な状態を維持しましょう

歯周病治療のゴールは、症状が改善した時ではなく、その後の再発を防ぎ、健康な状態を長期にわたって維持し続けることです。治療後の継続管理として、2~4か月ごとの定期検診・メンテナンスをシステム化しており、専門的な予防処置を通じて、あなたの大切な歯を生涯にわたって守り続けます。

まとめ

歯がグラグラしてきた時の緊急度は、動揺度急性炎症の有無によって判断されます。動揺度3度や膿が出る状態は緊急性が高く、早急な対応が必要です。

しかし、「抜歯しかない」と言われても諦める前に、歯周内科治療という選択肢があることを知っていただきたいと思います。痛みが少なく、短期間で効果が期待できる治療法として、多くの患者様に選ばれています。

あなたの大切な歯を1本でも多く残すために、まずは精密検査を受け、現状を正確に把握することから始めましょう。最新の歯周内科治療と、患者様第一の丁寧なカウンセリングで、あなたの歯の健康を全力でサポートいたします。

この記事の監修

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八幡 智裕(やはた ともひろ)

当院は、平成10年10月、姫路市勝原区や網干区、太子町の患者様が多い歯科医院です。おかげさまで開院当初から、たくさんの患者様にご来院いただいています。「第一に患者様のことを考えた治療を行うこと」を何より大切にしており、患者さんとの相互理解を重要視し、患者様にご満足いただけるよう医院作りに努めています。

所属学会・研修会

日本歯科医師会 会員/兵庫県歯科医師会 会員/姫路歯科医師会 会員/国際歯周内科学研究会 会員/JPDA 有床義歯学会 会員/研修会筒井塾 咬合療法コース/山田先生エンドベーシックコース/大阪SJCDベーシックコース/大阪SJCDレギュラーコース/OSIインプラントセミナー/S.O.R.Gベーシックコース/JACID インプラント100hコース/CALLベーシックセミナー

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