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やはた歯科ブログ
- 矯正歯科
- 2025/12/20
矯正後の歯並びを守るために。 「後戻り」の原因と対策
当院(やはた歯科)のブログをご覧いただきありがとうございます。
長い期間をかけて矯正治療を終え、ようやく手に入れたきれいな歯並び。「これで治療は終わり!」と安心していませんか?実は、ふと鏡を見たときに「少し歯が動いてきたかも?」と不安を感じる患者様は少なくありません。
矯正治療は、装置を外したその瞬間がゴールではありません。その後の管理こそが、一生モノの笑顔を守るための重要な鍵となります。
今回は、矯正治療後に多くの患者様が直面する課題である「後戻り」について、そのメカニズムから具体的な対策までを詳しく解説いたします。
1. 矯正治療後の「後戻り」とは
後戻りの定義
矯正治療によって美しく整えられた歯並びが、時間の経過とともに治療前の位置や、予期せぬ方向へと移動してしまう現象を「後戻り(リラップス)」と呼びます。
この現象は決して珍しいことではありません。ある研究データによると、治療後の保定装置(リテーナー)を使用しない場合、約90%という高い確率で後戻りが発生するとも言われており、誰にでも起こり得る生理的な反応です。
なぜ歯は動いてしまうのか(発生のメカニズム)
歯が動いてしまう主な理由は、大きく分けて以下の2点です。
- 組織の記憶と安定期間
治療直後の歯は、それを支える骨(歯槽骨)や歯茎がまだ完全には固まっておらず、非常に不安定な状態にあります。特に、歯と骨をつなぐ「歯根膜(しこんまく)」という線維組織はゴムのような性質を持っており、元の位置に戻ろうとする弾性(復元力)が働くため、装置を外した直後は特に歯が動きやすくなっています。 - 生理的な歯の移動
矯正治療の経験に関わらず、人間の歯は一生を通じて咬合力(噛む力)や加齢変化により、わずかずつ動き続ける性質があります。これを「生理的近心移動」などと呼び、加齢とともに歯並びが変化していくこと自体は自然な現象でもあります。
2. 後戻りが起こる主な原因
せっかくの治療を無駄にしないために、後戻りを引き起こす具体的なリスクを知っておくことが大切です。
① リテーナー(保定装置)の使用不足
後戻りの最大の原因は、リテーナーの装着時間を守らないことです。特に治療終了後の半年〜1年間は、骨が再構築される「クリティカル・ピリオド」と呼ばれ、歯が最も動きやすい時期にあたります。この期間に自己判断で使用を中止したり、装着時間を短縮したりすると、高い確率で後戻りが発生してしまいます。
② 口腔習癖(お口の癖)と姿勢の影響
無意識に行っている日常の癖が、歯並びに持続的な力をかけ、後戻りを誘発することがあります。
- 舌癖(ぜつへき):舌で前歯を押したり、飲み込む時に舌を突き出したりする癖は、歯に内側から強い圧力をかけ続け、開咬や出っ歯の再発原因となります。
- 口呼吸:口が常に開いていると、外側から歯を抑える唇や頬の圧力が弱まります。同時に舌の位置が下がることで歯列のバランスが崩れ、歯が外側に動きやすくなります。
- 態癖(たいへき)と寝姿勢:頬杖やうつぶせ寝などの姿勢も要注意です。成人の頭の重さは約4〜6kgあると言われており、この重さが顎や歯列に片側からかかり続けると、歯列の歪みや噛み合わせのズレを引き起こします。
③ その他の要因(親知らず・加齢・治療法)
- 親知らず:横向きや斜めに生えた親知らずが、奥から前の歯を押すことで、歯列全体が乱れる「扇状展開(フレアアウト)」が起こる場合があります。
- 加齢変化:加齢に伴い骨密度が低下したり、歯周病によって歯を支える組織が弱くなったりすると、歯は動きやすくなります。
- 部分矯正のリスク:当院でも行っている「部分矯正」ですが、前歯だけの見た目を整えても、奥歯の噛み合わせや全体のバランスが整っていない場合、特定の歯に力が集中し、後戻りしやすい傾向があります。
3. 後戻りを防ぐためにできること
美しい歯並びを長くキープするために、以下の3つのポイントを意識して生活しましょう。
① リテーナー(保定装置)の適切な使用と管理
- 装着時間の厳守:治療終了直後(特に最初の半年〜1年)は、骨が安定するまで1日20時間以上(食事と歯磨き以外)の装着が必要です。
- 継続的な使用:歯周組織が安定した後も、加齢による変化に対抗するため、可能な限り長期(理想的には半永久的)に、就寝時だけでも使用を続けることが推奨されます。
- 洗浄と管理:リテーナーの変形や破損を防ぐため、外した際は必ず専用ケースで保管してください。また、熱湯消毒は変形の原因となるため避け、水かぬるま湯で洗浄しましょう。
② 生活習慣と口腔習癖の改善(MFT)
- MFT(口腔筋機能療法):舌の正しい位置(スポット=上の前歯の裏側の少し後ろ)を習得し、唇や頬の筋肉バランスを整えるトレーニングを行うことで、後戻りの原因となる筋圧の不均衡を解消します。
- 姿勢の見直し:頬杖をつかない、寝る時はできるだけ仰向けを意識するなど、顎や顔面に偏った重力がかからないように生活習慣を見直しましょう。
③ 定期検診とメンテナンス
- 定期チェック:リテーナーが合わなくなっていないか、親知らずが悪さをしていないかなど、定期的に歯科医院でチェックを受けましょう。早期発見できれば、リテーナーの調整だけで済む場合もあります。
- 歯周病予防:歯を支える土台(歯槽骨・歯茎)が健康でなければ、歯は維持できません。プロによるクリーニングで口腔内環境を整えましょう。
まとめ
後戻りは、生きた組織である歯にとってある種の生理現象ですが、リテーナーの正しい使用と悪習癖の改善により、予防や最小化が可能です。
もし、「リテーナーが入らなくなった」「少し歯が動いてきた気がする」と感じたら、放置せずに早めに当院へご相談ください。やはた歯科では、治療後も皆さまの素敵な笑顔を守るパートナーとして、しっかりサポートさせていただきます。

この記事の監修

八幡 智裕(やはた ともひろ)
当院は、平成10年10月、姫路市勝原区や網干区、太子町の患者様が多い歯科医院です。おかげさまで開院当初から、たくさんの患者様にご来院いただいています。「第一に患者様のことを考えた治療を行うこと」を何より大切にしており、患者さんとの相互理解を重要視し、患者様にご満足いただけるよう医院作りに努めています。
所属学会・研修会
日本歯科医師会 会員/兵庫県歯科医師会 会員/姫路歯科医師会 会員/国際歯周内科学研究会 会員/JPDA 有床義歯学会 会員/研修会筒井塾 咬合療法コース/山田先生エンドベーシックコース/大阪SJCDベーシックコース/大阪SJCDレギュラーコース/OSIインプラントセミナー/S.O.R.Gベーシックコース/JACID インプラント100hコース/CALLベーシックセミナー